2025シーズン選手広報部にインタビュー|板倉 航希選手&三好 崇斗選手編

2025シーズンが始まり、前期リーグも折り返しました。
人数も大幅に増え、昨年の悔しい結果を受けて「今年こそは」と奮起するNAGAREYAMA F.C.の選手たちは、例年以上に、仕事、ホームタウン活動、練習そしてトレーニングと忙しい日々を送りながらも、サッカーで私たちを魅了してくれています。

そんな中、選手広報部が今年から本格的に広報活動を始めたことは、みなさんもご存知の通り。
そこで今回は、選手としても広報部としても活躍している板倉 航希選手、三好 崇斗選手にインタビューを行いました。

広報に取り組む想い、お互いの第一印象、意外な一面や”そのままな一面”、さらにサッカーが嫌になったときのエピソードなど、2人をつい応援したくなるストーリーが満載です。

”弁当”と”勉強”。朝早く起きて取り組んでいること

今日は集まっていただいて、ありがとうございます!さっそくですが、三好くんのブログ(note)を読んだけど、文章を書くのは得意?

三好
小学校低学年の頃は、作文コンクールとかで入賞するぐらい、文章書くのが好きだったんじゃないですかね。あんまり意識したことなかったですね。ちょっとずつ書いています。

ブログを書いたきっかけは?

三好
ずっとサポーターの方が毎試合の振り返りを書いてくださっているんですよね。それをちょくちょく読みながら「俺もいろいろ思うことあるな」って思って書き始めました。

すごく引き込まれました。多才だなぁと思いました。
ところで情報を発信するという話の流れで、選手広報部のInstagramが始まりましたね。イベント情報の投稿の画像は、誰が作ってるの?

板倉
俺ですね。ベースを作ってもらって、字を入れるだけなんですけどね。

航希くんだったんだね。正直、意外だったw

板倉
意外すぎますよね。多分、誰1人俺がやってるなんて思わないですよ。

三好
めちゃくちゃ仕事早いっすよ。

そういう一面は、ファンとして知りたいと思うんだよね。今日はそんな意外な一面を深掘りできたらなと思います。
まずは航希くんから見て、三好くんの意外な一面はある?

板倉
そのまんまですよ。意外な一面がないです。イメージ通りですよ。家事もできそうだしご飯も作るし。

逆に三好くんから見て、航希くんの印象を聞きたいんだけど、第1印象はどうだった?

三好
サッカーの面で言うと、僕からのパスを、サ〜って1人で1ゴールまで持っていったのは印象に残ってます。この人、絶対サッカーの上手い人だっていう。でも航希くんは意外だらけですw

たとえば?

三好
たぶん僕よりも几帳面で綺麗好きですしw

板倉
笑うところじゃないですよw

三好
朝はお弁当を自分で用意していったりとか。

板倉
それ、結構トップシークレットですよ。

書かないほうがいい?

板倉
恥ずかしいんですよね。恥ずかしいから全然誰にも言ってこなかった。

三好
ストライカーって聞くと、オラオラしてるイメージですけど、もう逆ですね。なんでこんなに優しい人が、あんなに点取れるんだろうって不思議です。

板倉
試合中と性格が変わるよね。

三好
試合とプライベートのギャップがあるのは良いですよね。試合でしか見てない人は絶対わかんないっすよ。優しさみたいなところは、触れ合わないとわかんない。

板倉
周りからは「こだわりが強い」ってよく言われます。

こだわりっていうと、ただの弁当じゃなくて、キャラ弁作ったり?

板倉
適当ですよ。

三好

めちゃくちゃ几帳面ですよね。ギャップの塊ですw

もともと料理は好きだったの?

板倉
いや、好きじゃないです。面倒臭い時はカレーを持っていったりしています。ルーは市販のものですけど。

弁当の写真は公開OK?

板倉
公開するんだったら、もっと綺麗に撮りますw

きっかけは、必要に迫られて?

板倉
土木の仕事をしているからハードなので、休憩に入った瞬間に飯を食って、その後は寝たいんですよね。

それで、すぐ食べられるように自分で作るようになったと。

板倉
はい。毎日です。

毎日!?自分で作るのは大変じゃない?

板倉
大変ですね。彼女のお母さんとか彼女が弁当を持ってきてくれたりとかもするんです。基本は晩飯の余りを持っていきます。

三好くんは、自分で弁当を作ったことある?

三好
数回はあります。

板倉
もう慣れたら作業です。夜のうちに詰めて、朝起きて、チンするだけなんで。米は朝に炊いて。

仕事のある日は何時に起きるの?

板倉
6時半くらいです。

キツくない?

板倉
仕事がキツいし、サッカーもあるから、朝はなかなか起きたくないですけどw 6時45分には遅くとも出ないといけないんで、朝起きてすぐに弁当の準備をして、朝ごはんを食べてすぐに家を出ます。

それでもサッカーが好きだから、できてるんだね。三好くんは、朝はどんな感じ?

三好
7時ぐらいに起きて、7時半過ぎに家を出ます。TXで南千住まで行ってます。

早いね〜。

三好
本当は筋トレとかしたいんですけど、通勤時間は勉強しています。

どんな勉強?

三好
ITパスポートの勉強してます。

へ〜。ITに興味があるんだね。

三好
あとエクセルの基本的なところも勉強してますし、最近、英会話も始めたんです。電車ではずっと英語を聞いてますね。ITパスポートが何か分かってなかったんですけど、ITだけじゃなくて、法務とかいろいろ基礎的に学べるんで、基礎力をつける上では一番いい勉強かなと思って。興味本位でやってます。

2人とも頑張っていて素晴らしいね。

NAGAREYAMA F.C.に入団した経緯

NAGAREYAMA F.C.には、どういう経緯で入団した?

三好
元々、ダイトくんみたいに海外行こうかなと思ってたんです。でも親との話し合いで、お金の面もそうですけど、自分のやりたいことを整理して、国内にしようって決めたんです。そこからNAGAREYAMA F.C.の練習に参加しました。きっかけは岡田です。保育園からの幼馴染みで。

NAGAREYAMA F.C.が良いなと思った理由は?

三好
元々プロサッカー選手になるっていう夢があったんですけど、海外に行くのをやめるってなったときに「なんでプロサッカー選手になりたいか?」を改めて考えたんです。「いろんな人に夢だったり元気を与えたい」っていうふうに思ってたんですけど、それは勝手に「プロサッカー選手にしかできない」って思い込んじゃってることに気付いたんですよね。岡田からNAGAREYAMA F.C.の話を聞いて「もしかしたらここでもできるかもしれない」って。それがNAGAREYAMA F.C.を選んだ理由の一つです。

プロにならなかったとしても、夢を実現できるんじゃないかと。

三好
そうですね。プロって手段の一つにすぎないんだなっていうふうに思ってます。最初の頃は周りの人から「千葉県一部ってどうなの?」「なんかもっと上いけたんじゃないですか?」みたいな感じで言ってきたんです。「いやそんなことない。やりたいことができるから、ここでいい」っていうふうに、そのときは言えました。

航希くんは、どういうきっかけ?

板倉
柊哉ですね。銀治さんが流大の練習に来て、キーパーで良い選手を取るっていうことで柊哉に声を掛けたときに、柊哉が俺に「一緒に行って」って。

なるほど。決め手はなんだった?

板倉
やっぱりJリーグを目指すってところですね。あと銀治さんに一目ぼれしましたw 人を寄せ付ける力みたいなものがあるじゃないすか。楽しそうだなとか。

それで決めたんだね。

板倉
それまでは迷ってたんですよね。大学の頃に誘われてた他のチームとかバイトとか…どれも遜色ない感じだったんです。社会人になって迷ってたタイミングで、銀治さんと話して。「社員になれるところがあれば」という感じでした。そこが変なこだわりなんです。

え?どこが?

板倉
「サッカーをしたい、強いチームでやりたい、仕事はお金がもらえればいいや」っていうのが、多分大体の社会人の考え方だと思うんですよ。例えば34歳とかで引退して、それまで会社とかバイトとかでずっと生活してても、その先に何もないなって思ったんですよね。食っていけないし、親のスネかじるのも嫌だし。そこをクリアした上でサッカーできる資格があるかなと。そこを悩んでましたね。

しっかり自分の将来のキャリアを考えながらサッカーをやっていくって考えてたんだね。

本格的に動き出した選手広報部

2人は選手広報部だけど、今年は特に本格的に活動している印象だよね。

板倉
去年はあまり活動していなかったですね。去年と同じだったら、やらなくても良いと思ってたんですけど、ダイトくんがやりたいことがあるって言ってて。やるからには中途半端はちょっと嫌じゃないですか。それでSNSのアカウント作って、何かしらやらないといけない状況を作って。

三好くんも去年からだよね?

三好
僕は去年、始動ミーティングの日に練習参加したんですよ。航希くんは、そこにいなかったんじゃないですか?

板倉
いたよ!そんなヤンキーじゃないよw

三好
そのときダイトくんが「去年も広報部があったけど、あまり機能してなかったから、今年はやりたい人だけがやる」って言ってて。去年は自分が広報部に入ってるっていう自覚もない状態でしたw 活動も特にできなかったんです。

今年は本格的に広報部をやろうと思ったのは、何か特別な思いがあって?

三好
ダイトくんに付いてきただけなんですけどね。でも航希くんとかイノくんがいろいろイベントをやったりして積極的に活動をしているのを見て、そこに僕も加わりたいと思いました。世界が広がりそうだし、いろんな繋がりも増えてくるから。これはやる価値があることだなと思って、今はもう迷うことなくやる気満々です。

広報部として「SNSのフォロワーで公式を超える」っていう目標があるって聞きました。

板倉
いまは130人くらいですね。本当はそういうことをやりたいんですよ。

そういうことって?

板倉
今はイベント情報の画像を作って発信してるんですけど、ファンを増やすための動画とか、選手個人の広報をやりたいです。俺のイメージは、例えばシュートシーンの動画でバズらせるとか、試合のプレーの特徴とか、今日の好プレーみたいな動画を作りたいんですよね。それで認知度を上げて、広報していきたいなっていうのがあります。それが、最初にダイトくんと考えてたことだったんです。

三好
レイソルが最近配信してる「ハイライトには載らない隠れた好プレー」がイメージに近いですね。航希くんは得点シーンに絡むことが多いから、ハイライトに載りやすいんですよね。僕のようなポジションは、ハイライトに載りにくいんですよ。そこをピックアップしてくれるだけで、日頃目立たない人はめっちゃ嬉しいだろうなって思います。目立つ人は、もちろんハイライトとして取り上げていいと思うんですけど、それ以外のところにスポットライトを当ててあげるのも絶対嬉しいだろうなって。

板倉
チームを知ってもらいたいよね。

三好
今のファンの人から選手をフォローしてもらうことはもちろんありがたいんですけど、それ以外の、NAGAREYAMA F.C.を全然知らなかった人からフォローされるようになれば、やりたいことが近づいてるなって思います。

板倉
でもなかなか難しいっすね。動画編集する時間もないですし。しかも俺、自分が出てない試合とか見たくないんですよ。だから俺ハイライト作れないw

三好
航希くんのマジですごいプレーだけを集めて、好プレー集を出したりしても良いですよね。

どうしても目立ったプレーが目立ちやすいんだけど、個人的には「この選手の守備が良かったからゴールにつながった」っていうプロセスを見るのが好きだな。ぜひそういう動画を作って欲しい!

2人のプレーについての印象と、そこから見える”信頼関係”

お互いのプレーの印象について聞かせてください。航希くんの動きは、考えるより先に体が動いちゃうみたいなイメージだけど、本人としてはどう?

板倉
意外と、考えてないようで考えてる気がするんですよ。

三好
考えてから動くのと、動いてから考えるのでは、どっちが近いんですか?

板倉
自分のプレーは考えない。ただ、人への指示は後で考えて伝えてますね。「お前こうやって動いたけどこうした方がいいよ」みたいな。

三好
ボールを持っているときは、考えてないかも。

板倉
浮いてるボールは、体がとっさに動いてます。良いパスが苦手なんですよ。

え?どういうこと?

板倉
難しいボールがくると、めっちゃうまく対応できるんですよ。体が慣れてると思う。

三好
航希くんは「それ納める?」みたいなやつを収めるタイプですよね。それゆえに、普通の綺麗なボールの対応があんまり目立たないって感じです。

そういうことか。良いボールは、当たり前のように収めてると。

板倉
相手からしても「え?」って驚いてる感じです。相手の想定外のことができて、俺が優位に立ってると思ってます。

三好
去年の試合で、航希くんが良いトラップしたときに、僕の近くにいた相手の攻撃の選手が、「やっぱ、あいつえぐいな」って、言ってたんですw フォワードの選手からも、そう言われてますよ。去年の後期リーグでも「13だ13だ」って。2人とか3人が出てくるのが当たり前の状況で、マークされてたのにそれでも納めるから、多分「えぐい」って言われてたのかなと。

状況が難しいときほど、力を発揮するんだね。
それで思い出したんだけど、去年の年末に開催されたサポーターさんとの交流イベントで、クイズ大会があったでしょ。正直「あんまり準備してなかったのかな」って思って見てたんだけどw でも、そのときの状況を見て瞬時にアイデアを出して「じゃあこうしよう」って指示していたのを見て、さすがだなって思った。

板倉
そんなところを見てたんですねw

個人的には、そこがすごく印象的だったね。
じゃあ今度は、航希くんから見た、三好くんの印象を聞かせてください。

板倉
サッカーをやってる人はわかると思うんですけど、ハーフウェイラインあたりで「このパターンはやられる」っていうときがあるんですよね。そういうときに三好がいると「あ〜三好いるわ。大丈夫だな」って安心します。

三好
めっちゃめちゃ嬉しいっす。

板倉
「やべぇ、戻らないと」っていう状況でも、三好がいれば「大丈夫だ」って。

信頼してるんだね。

三好
ありがたいです。照れるでしょw

板倉
あと俺がアップテンポになることがあるんですけど、それが収まったときは、大体三好がコントロールしてるんです。「もうきついよ」って思うようなときに、そのテンポが落ち着くと、三好が収めてるんですよね。その反面、俺が本気で欲しいときにたまに来ないときはあるけどw 安全策に逃げるときも、多分あるでしょ?

三好
よくわかってますねw まさにその通りで「欲しかったんだろうな」と思うときがあります。ただいろいろ状況を見て判断するしかないですよね。それはわかってくださいw

板倉
でも俺は「もう絶対これゴールまでいける」っていうときは「今の出せよ」とかたまに言っちゃうんすよね。

三好
大体、目が合うんですよ。僕も「この状況でどうする」って一瞬で考えて、キャンセルしてパス出した次の瞬間に「多分、欲しかっただろうな」って思いますw

試合がものすごいスピード感で進む中で一瞬の判断をするって、難しそう。

板倉
一瞬じゃないですよ。プロとかJリーグとかに比べたら、まだ遅いです。だから割と考えられるのかな。周りにプロに行った選手がいる中でサッカーをやってたので、遅いなって感じます。

三好
僕もユースにいたんで、トップの公式戦の次の日のサブ組の練習試合とか経験してきたんですけど、もう中盤の選手のところなんか、全然世界が違います。判断とかいう次元じゃなかったです。ボールが来る頃には、もう取られてるみたいな感覚です。

やっぱりプロと地域リーグでは大きな違いがあるんだね。

三好
ぶっちゃけJ3は、多分航希くんだったら全然いけるレベルです。

板倉
流大にいたときは、浦和レッズと試合をしてたんです。レッズは、流大との試合の前、午前中に練習してたんですけど、動きは早かったです。やっぱりJクラブと対戦するのと、そのチームの中で入ってやるのとでは全然違うなって思いました。

上のカテゴリーにいくほど、厳しさも増していくんだね。それだけ、環境も大きく変わるけど、成長の度合いも変わってくるということか。

サッカーが嫌になった瞬間とは?それでもサッカーを続けてきた理由と、今につながるもの

今まで、サッカーが嫌になったことは?

板倉
ミーティングとかで、「お前頑張ってたから、今日スタメンな」とか言われたら、もうやる気なくなる。「頑張ってるから」っていう理由で認められるのは嫌なんですよ。

三好
え〜!すげぇなw

それはもったいない!

板倉
バカですねw 自分でもわかってるんですけど。でも、今はないですよ。

それでも当時は結果を出してた?

板倉
そうですね。でも、入れ替わりはその分激しいですよ。俺が結果出して、次はスタメンかなって思ったら、いきなりBチームに落とされたってこともあります。

三好くんは、どういうタイプだった?普段からの取り組みの姿勢を大事にするタイプに見えるけど。

三好
そうですね。でもそのせいなのか、僕はあんまり報われない人生でした。逆に、僕の知らないところで「しっかり練習とかやってるんだろうな、この人は」みたいな人はいますよね。明らかに、グラウンドでは俺の方がしっかりやってるのに、そういう人が試合に出てたりするのは、悔しかったですね。この人も、どっかでしっかりやってるっていうのは分かってはいるんですけど。

ブログでも書いていたね。「自分は他の選手と比べると…」っていう話が。

三好
そうですね。ただ自分軸で考えると相当伸びましたよ。小学校も中学校も大学も、伸びてる実感はあっても、他の人と比べて自分だけフォーカスしちゃうんです。本当に運動能力がないんですよ。足遅いし、跳躍力もないし、身体能力で言うと下の方なんですけど、それでも何とかしてるって感じです。航希くんと比べると、ほとんどのステータスで負けてます。本当に。

そうなんだね。でもそういう状況でも、大事な役割を果たしてるって思う。

三好
逆に僕にしかできないこともあるんですよ。なるべく航希くんたちが苦手なところを僕がやって、あとは好き勝手やってくださいって。これで点を取らなかったら、ぶん殴りますw ちゃんと点取って帰ってきてくれるから、そこは信頼できると思うんですよね。

バランスというか、チームとしてのそれぞれの大事な役割があるってことだね。

三好
僕は辛抱強く訴える側ですね。何回、この人たちにボールを預けられるかっていう勝負だと思ってます。めちゃくちゃ外すときでも、何回でもボールを上げてます。

板倉
俺はそういうときでも、逃げずにシュートを狙っていきますね。何回外しても「何言われようが関係ねえよ」っていう感じです。逆にそこでシュートを打たずにパスを選択しちゃうと、悪いループに入りそうで怖いっていうのもあります。自信をもってシュートを打てなくなるんですよ。入らないときは入らないって割り切ってるんで。

思うようにいかないことも当然あるんだよね。そういうときに、サッカーを辞めたいって思ったこともある?

板倉
あります。高校の1年ぐらいのときに辞めたいって思ったんですけど、自分の特徴がわかんなくなったんですよね。試合に出れなくなって、何を売りにして出ればいいんだろうって。例えば「足速くてドリブルできる」って思っても、俺よりできる人がいっぱいいるから、俺は普通だなって思ったことがあります。「もう嫌だ、辞めよう」って思ったときは、どこも怪我してないのに「スネが痛い」とか言ってましたw

それでも、やっぱりサッカーをやりたいって思ったんだね。

板倉
好きなことって、一回やめるとすぐやりたくなるんで、逆にやる気が出ましたね。1週間後ぐらいにまたやり始めて、忘れてるみたいなw

三好
子供じゃないですかw

三好くんは、挫折というか「やってられないな」って思った経験はある?

三好
noteにはギリギリ書いてない話があります。小6のとき、全国大会で準優勝して全日っていう夏の大会にでたときの話なんですけど、Bチームで僕がキャプテンをやることになったんです。それでお父さんと地獄の特訓が始まったんです。

地獄…

三好
サッカーノートを付けることになったんです。まず自主練のメニューからおかしいんですよ。「右足50本、左足50本、左右交互で20本」って書かれてるんですけど、僕しかいないので、蹴ったら取りに行かないといけないんですよね。120本ぐらい蹴っては取りに行ってを、1人で往復してやってました。階段ダッシュもやりましたし、それを全部チェックされて。それと試合も「球際」とか「切り替えの早さ」みたいな項目があって、3段階評価なんですけど、丸がついた記憶がほぼないんです。

お父さんがチェックしてたの?

三好
そうです。基本的にバツばっかりでした。小6のときが一番苦しかったです。何かあると監督から言われて、帰りの車の中でもお父さんからキツく言われるし、挙句の果てに家に帰ったら、お母さんが「試合どうだった?」って聞かれて答えたら、またお父さんから説教されて。食事が喉を通らなくなっちゃうんですよ。

小6でそこまでの経験をしてたんだね…

三好
そうです。僕が自主練をお父さんと泣きながらやってたとき、弟も手伝いに来てくれたんですけど、途中から怖くなっちゃって、泣いて帰ってましたね。「お兄ちゃんがいじめられてる」って泣きながら。しかも自分のことじゃなくて、お兄ちゃんがやってる練習で泣いて帰るぐらいの状況でした。

弟がその様子を見ていて、自分も怖くなっちゃったのか…。相当な怖さだったんだろうね。

三好
でも結局その年は、熊本県で178チームが県大会に出たんですけど、決勝戦が史上初の、同じクラブチーム同士だったんですよ。Aチーム対Bチームが178チームの決勝を戦うっていう状態になってました。地元でニュースになったくらいです。そこまでの成果は出たんで、ギリギリいい思い出として話せますけど、二度と戻りたくないんですよ。そのときは、本当にサッカーが大嫌いでした。試合が怖かったんですよね。

そんな過酷な状況だったんだね。

三好
チームメートには迷惑かけたくないし、監督には怒られたくない、それにお父さんが見てるからお父さんからも怒られたくないっていう状況でした。とんでもないストレスを抱えてたから、縮こまっちゃって、いいプレーができるわけがないですよね。ガッチガチで動けないから毎回怒られて、負のループでしたね。でも今は、その経験があるから、なんでも来いって感じです。家のトイレで泣いてましたから。

板倉
かわいそう。

三好
小6のとき、合宿で夜はご飯3杯、朝は2杯っていう決まりがあったんです。でも合宿に行っていきなり食えるわけないので、日頃からトレーニングでした。吐いてでも食う練習をしてましたね。でも、その時期だけはもうご飯一杯すら、喉を通らなかったんです。めっちゃ痩せてましたね。

まさとくんのインタビューでも、そういう話が出てたね。そういう経験があって良かった?

三好
結果が出たんで、今では笑い話になりますけどね。僕も航希くんと似てて、そこで「見返してやるぞ」って思いながらやったから、今があると思います。でも今更、お父さんが「俺のおかげだ」って言ってきたら、多分ブチギレてますw

負けず嫌いな性格を見越してたんじゃない?

三好
一度お父さんから「弟は褒めて伸ばすタイプで、お兄ちゃんは叱って伸ばすタイプだったね」って言われたんですけど「違うよ。そこ間違えてるよ」って言っておきましたw 褒めてもらった方がいいに決まってますw

2人とも、若い頃にそういうキツい経験をしてきたからこそ、今につながっているってことだね。

昨シーズンの結果を踏まえて、2人が取り組むそれぞれの課題

では最後になりますが、去年に続き、今年は関東昇格という目標があるわけですけど、2人の意気込みを聞かせてください。

板倉
いろいろと変えようとはしてますね。去年の感じじゃダメだったんで、筋トレを始めました。また来年も千葉県1部じゃ嫌だっていう気持ちですね。

なるほど。筋トレは、体を強くする目的で?

板倉
スピードとか身体能力を上げたいっていう気持ちがありますね。あと、海に行ってモテるだろうなってw

三好
正直だなw

正直で良しw

板倉
俺の得点パターンは、個人技とかドリブル、シュートとかが多いんですけど、苦手なのがクロスの入り方だったんです。今までは、俺が打った方が外さないだろうって思ってたんですけど、そこの判断を上げたいなっていうところがありますね。あと、自分の得点パターンも増やしたいなと。それでいろいろと変えようとしていたときに怪我をしちゃったんですよね。

今まで、筋トレしてなかった?

板倉
全くしてなかったですね。体が重くなるからと思って。元が良いんでw

言うねぇw 確かに、航希くんはベースがしっかりしているイメージ。

板倉
器具を使う筋トレより、砂場とかの足場の悪いところで走ったりとか、坂道を走ったりとか、死ぬほど練習したりとか、多分そういう経験で培われてはいるんです。

そういう鍛錬は、以前から?

板倉
小学校とか中学校の頃からそういう経験をしてきていて、足腰が強くなったんだと思います。自然に付いた筋肉が正義だと思ってたんですよ。

自然な筋肉が正義。その心は?

板倉
自然に付いた筋肉は、サッカーでも使われると思うんですよ。ぶっちゃけた話、胸筋とかって関係ないじゃないすか。って、今まではそういう気持ちだったんですけど、ちょっと変えてみようかなって。

例えばアフリカのサッカー選手は、子供の頃から屋外でも裸足でサッカーをしてるイメージだけど、そういう経験があると、基礎がやっぱり違ってくるんだろうね。

板倉
そういうイメージです。砂浜で、裸足でサッカーをしてました。高校のときとかは裸足でやってましたよ。

痛そう。

板倉
意外と慣れるもんですよ。ガラスが落ちてて切ったこともあります。

こわ。

三好
あんまり普通の人だと思わない方がいいですよw 痛みに関しては、ちょっとおかしいですw 基準が違いますね。

板倉
怪我しにくかったんですよね。怪我はしても、やるんだっていう感覚でした。

三好
おかしいんですよw

板倉
肋の骨折は怪我じゃないです。

何を言ってんの??w

三好
やばいですよねw マジで痛いときと、軽く痛いときの違いがわからないんですよ。「いってぇ」しか言ってないんでw

板倉
当たり前みたいな感覚です。高校時代は、捻挫なんか怪我じゃないっていう高校だったんです。割とその中でも、痛みには強かったので。

千葉県とか関東か、カテゴリーによって、削られ方の度合いは違ったりする?

板倉
今でもなかなか削られるし、相手のプレスのスピードが遅いと逆に足に来るんですよ。早かったらボールに間に合うのに、遅いから足に来ちゃうんです。

なるほど。自分にとってのタイミングがずれるから、ボールじゃなくて自分の足に来ちゃうということかな。
去年の1年間を経て、体幹だけじゃなくて、体の強さのバランスも付けていこうということだね。

板倉
バランスというか、スピードを上げたいのが一番ですね。海外の選手って胸筋があるんですよね。胸筋はサッカーには要らない筋肉だと思ってたんですけど、自分に合えば良いのかなって思うようになりましたね。

筋トレでますます今年の活躍が楽しみになりました!
では三好くんの、今シーズンの意気込みを聞かせてください。

三好
去年は、縁の下の力持ちじゃないですけど、あんまり目立たなくてもいいから、とにかくチームのために自分のできる範囲でやれることやろうっていうマインドでした。

試合以外の場面でも?

三好
試合がメインですね。去年まではダイトくん、航希くんたちが活躍できるように自分が支えるイメージでやってたんですけど、今年は、上に立って引き揚げる側をやらないといけないなって思っています。別にピッチに立つ立たない関係なく、いろんな人を巻き込んでいけたらいいなっていうふうに思ってます。それで結果がついてくればなおさら良いかなって。

選手が増えると、人の数だけ考え方もあるし、キャラクターもあるし。それをまとめようとするんじゃなくて、ベクトルを合わせたいなと思ってるんです。

副キャプテンとしても、大事な役割だね。

三好
砂くんがキャプテンとして厳しく言うタイプで、シゲくんはいじられながらも年長者として同じような立ち位置で、ちゃんと言ってくれるタイプです。僕とフミくんはちょっと似てるようなタイプだと思ってて、あまり喋ったりするタイプじゃないけど、いろんな人の話を聞いて、浸透させる役割があるかなと思うんです。そこをうまい具合に、みんなからの意見を進んで広げていくことができたらいいなと。

調整役という感じ?

三好
そうですね。人数が増えるとどうしても不満も出てくるから、それをなくしていければいいかなと。

不満って、具体的には?

板倉
簡単に言えば「繋ぎたいか」「蹴りたいか」の違いですかね。チームではパスを回したいのに、ある人は回さずに前に蹴ったり、別の人は「縦パス」したりといった感じです。

三好
特に今年の新加入の選手は、自分以外の選手のことをほとんど知らないから、1人1人の個性をつかんでいく必要がありますよね。既存の選手は「航希くんだったらここに出してたのに」って思ってしまう場面は、どうしても出てくるんですよね。そこの不満とかストレスだったりがあってやってると思うんです。

なるほど。そういうストレスを抱えてるような状況を見て、フォローしたり?

三好
話し合いは活発になってきてます。前向きな話し合いになるようにしていきたいですね。理想は、どっちを正解とかにするんじゃなくて、どっちも納得できるようにするっていうことを意識しています。

今シーズンは特に大事な1年になりそうだから、2人とも、それぞれ自分の課題意識を持って取り組んでいることを聞けて、楽しみになってきました。
今日はありがとうございました!今年も活躍を期待しています!